2012年6月13日水曜日

アプリの制作方針

iPhone のアプリを作成するのに留意したことがある。
パソコンなどのプログラムを作成する場合には、機能やユーザの利便性が開発目標の中心になると思うが、 iPhone のアプリの場合にはこの事情が違うらしい。

「写真は手軽に撮影できるだけでなく、その被写体の選別を通じて、撮影者の趣味をも仄めかす、簡便な自己表現ツールとなった。
 このように、スマートフォンやタブレットの登場によって、個人のコンピュータ利用シーンは多様化した。そこで提供されるアップ自体も、より個人的な趣味・嗜好に合致するような、微妙なテイストやトーンを反映したものになる。スマートフォンが日常生活の随所で利用されることで、アップ自体も生活デザインに繋がる、工芸に近いものが求められる。つまり、アップは一つの制作物、作品のようなものとして見られる。なぜならば、先ほど写真について記したことと同じことがアップ全般についても当てはまるからだ。生活を彩るようなアップは、そのアップの開発者の思想や指向性を反映したものとみなされる。こうして、アップ、つまり、ウェブのソフトウェア開発は文化的な創作活動の側面を増していく。」
新潮 2012 6月号 p240-243「アメリカンスケッチ2.0 第二十四回ギークはロックスター」池田純一

長々と引用したけど、つまり、スマートフォンのアプリは写真や同人誌のような創作物であり、人と人とのコミュニケーションを繋ぐツールであり、媒体なのだ、ということらしい。工芸品としてのアプリを作成するのに工業製品としてのプログラムを作成する態度が適切であるのかどうかの議論はあるけれど、とりあえず、目的が同じ、機能が同じなアプリを作ることには全然問題がないらしいことがわかる(工業製品の事務用椅子や机でも様々な意匠の製品があるように、スタイルやセンスをユーザに訴えるものならば、たとえ Apple や Twitterが既に製品化しているようなアプリでも、難しいかもしれないが、十分にユーザの支持を集める可能性があるという話なのです)

そういう訳で、iPhone のアプリは趣味・嗜好に走ることにしたのでした。

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